行政書士事務所のwebサイトはジンドゥーで十分
個人経営の行政書士事務所において、広報戦略の考え方を、前回の記事「行政書士事務所の広報戦略」で整理しました。
では、その具体的な方法として、たとえばwebサイトについて、どう考えたら良いか、今のところの結論を整理してみます。
結論
個人経営の行政書士事務所においては、webサイト制作は、ジンドゥーでできる範囲で十分だと思います。
わたし自身は、当サイトをヘッドレスWordPressで運用していますが、それはわたしが情報系の知識があって、webサイト制作が好きだからやっているだけです。
効率性の観点から言えば、当サイトがWordPressで作られている合理的な理由は、あまりありません。
webサイト制作が、本業でも趣味でもない、個人経営の行政書士事務所においては、WordPressはオーバースペックのような気がしています。
最近、そのように思うようになった理由を、書いていきます。
お時間ある方は、最後までお読みください。
背景知識
webサイトについて考える前に、広報戦略について考えなければいけません。
webサイト戦略は、広報戦略の一部だからです。
広報戦略については、前回の記事をご参照ください。
たとえば、
- 相手:地域コミュニティ
- 目的:顔や人となりを知ってもらう
といった場合は、webサイトで広報するのは非効率です。
地元のお祭りなどに顔を出す方が、良いかもしれません。
web戦略が効率的なのは、たとえば、
- 相手:メール交換や、名刺交換をした見込み客
- 目的:事務所の得意分野を知ったうえで、業務の依頼につなぐ
というような場合です。
いわゆる、「名刺的活用」と呼ばれるものです。
もう1つは、
- 相手:Googleなどで「**許可」などを検索したひと
- 目的:事務所のサービスを知って、お問い合わせしてもらう
という場合もあります。
こちらは、「集客的活用」などと呼ばれます。
このほか、ネットショップ(Storesのような)や、情報販売サイト(noteのような)、事業者マッチングサイト(バトンズのような)などもありますが、個人経営の行政書士であれば、あまり関係ないと思うので割愛します。
行政書士のサイトに必要なもの
個人経営の行政書士事務所において、webサイトにまず必要なのは、名刺的活用です。
そのためには、
- 対応業務を表示するページ
- お問い合わせページ
が必要です。
上記の機能がないサイトを作っても、意味がありません。
次に、集客的活用も、できたらやりたいです。
そのためには、
- 多くの人に役に立つコンテンツ
- SEO対策されたページボリューム、ページ構成(構造化データ)
- 公的・準公的サイト、その他サイトからの被リンク
- 各種SNSで取り上げられたときの見栄え(OGP)
- 単純接触効果をあげるための工夫(見る度に違う情報が表示されるなど)
- アクセシビリティ(音声ブラウザ対応、多言語対応など)
などが必要です。
ただし、こういった対策は、人件費、時間、お金などの資源が必要です。
それらのコストを支払ってでも、集客した方が利益が上がる場合にのみ有効です。
(当サイトでも、上記全部には対応していません。)
集客費用と、最終的な利益のバランスを決めて、会計上、計画的に実行してください。
webサイト制作の選択肢
webサイトを作る場合、いくつかの選択肢があります。
以下、列挙してみます。
- WordPress
- Wix
- ジンドゥーやAmeba Ownd
- microCMSやnewt
WordPress
世界のwebサイトの40%以上が、WordPressで作られているそうです。
これは圧倒的な利用率です。
有名なところでは、アメリカのホワイトハウスもWordPressです。
WordPressの良い点は、自由度が高いことです。
ECサイトや、マッチングサイトなど、ほぼなんでも作れます。
問題点は、セキュリティです。
WordPressをすでに利用されている方には、当事務所がおすすめする、最低限やってほしいセキュリティ設定4つを、以前まとめていますので、ぜひご参照ください。
セキュリティ対策は、安いところに頼んでも毎月5,000円くらいはかかると思います。
ホワイトハウスともなれば、ページ数も多く、アクセス数も多く、サイバー攻撃も多方面から受けるでしょうから、エンジニアが複数常駐せざるをえず、維持費だけで何万ドルもかかっているはずです。
個人経営の行政書士事務所では、そこまでする必要はないものの、とはいえ、それなりの費用は見込んでおく必要があります。
自分でセキュリティ対策を勉強できるなら、この費用はかからないのですが、本業でも趣味でもないwebサイトに、それだけの労力をかけるのは大変です。
よって、webサイトの維持費に毎月5,000円以上(理想は1万円から2万円程度)かけられない場合、WordPressはおすすめしません。
Wix
WordPressよりは、利用数は少ないですが、こちらも世界的に利用されているシステムです。
また、Wixは、WordPressほどではないものの、自由度が高く、高機能です。
セキュリティ対策も、Wix側でやってくれるので、安心です。
問題点は、高機能のため、サイトが重いことです。表示速度が遅いです。
また、これも高機能の裏返しですが、操作で覚えることが多いということもあります。
行政書士事務所のサイトとしては、ややオーバースペックかなと思います。
あと、高機能を実現するために、ソースコードが汚いので、HTMLが読める人には好まれないかもしれません。
Wixは、Wix特有の操作方法を学習する時間が必要です。
そのような時間を十分に取れる方には、おすすめします。
そうでない場合は、おすすめしません。
ジンドゥーやAmeba Ownd
使われているサイトの数は、WordPressやWixよりも少ないです。
作れるサイトも、基本的なものだけです。
デザインの自由度や、機能の拡張性は低いです。
しかし、名刺的機能はまかなえます。集客機能も、ある程度はやってくれます。
また、自由度が低い分、操作を覚える手間は少なくてすみます。
セキュリティについては、心配ありません。
ジンドゥーは、日本ではKDDI系列の会社が管理してくれますし、Ameba Owndは、abemaTVなどを運営しているサイバーエージェントが管理してくれます。
個人経営の行政書士事務所で、webサイトが本業でも趣味でもない場合、ジンドゥーやAmeba Owndなどのサービスをおすすめします。
microCMSやnewt
比較的新しい技術なので、まだシェアは低いですが、これから伸びていくと思われます。
静的サイトを生成するので、表示速度が速く、セキュリティ上も安全です。
大量のページがあるサイトには向きませんが、行政書士のサイトなら、問題ないと思います。
現時点では、これらのサービスを使うために、プログラミングの知識が必要です。
node.js(とくにNext.js)などが主流ですが、PHPでも一応作れます。
よって、現時点では、microCMSや、newtなどのサービスはおすすめできません。
しかし、将来的に、もっと簡単な連携システムが出てくれば、おすすめ対象になってくるかもしれません。
ジンドゥーの費用
ジンドゥーでホームページを作る場合、費用としては、以下のようなものがかかります。
初期費用:
- 独自ドメイン 1,000円~
- デザイン費用 0円~45万円
※デザイン費用は、自分でやれば0円です。
ココナラなどで、10万円以下でやってくれるデザイナーもいます。
ジンドゥー公式の制作パックは約30万円です。
その他、Jimdo Expertと呼ばれる専門家に頼むこともできるようです。
運用費用:
- 独自ドメインの維持費 毎年2,000円~
- ジンドゥーのPROプラン 毎月1,200円
最初は、デザインに凝らなくてよいと思います。
スモールスタートでwebサイト運用を始めてみてから、だんだんお客さんが増えてきたタイミングで、リニューアルを頼むのが良いです。
なお、これらの費用は、他のサービスに比べても、かなり安い方だと思います。
これよりも費用を抑えたい場合は、webサイトでの広報は諦めた方が良いかもしれません。
ライブドアなどの無料ブログや、各種SNSによる広報を検討したり、Googleビジネスプロフィールの利用をおすすめします。
ジンドゥーの欠点
上記のとおり、個人経営の行政書士事務所なら、ジンドゥーやAmeba Owndをおすすめします。
どちらでも良いですが、わたしは最近とくにジンドゥーをおすすめしています。
最近、諸事情からジンドゥーを触ることになり、その操作性が簡単だったので、気に入りました。
とはいえ、ジンドゥーにも欠点はあります。
広島県にあるweb制作会社のヒラメキカンパニーさんが書いている「ジンドゥーで作ったホームページのメリット3つ」という記事によれば、以下の通りです。
- ブログが書きづらい
- 言葉が特徴的
- トップページに表示ができないので、お知らせやブログをたくさん書く場合は難しい
- 複雑で大規模な構造のホームページには向かない
- バックアップが取れない
- 構造化マークアップが使えない
トップページに表示する方法については、先日qiitaに「Jimdoのブログ記事一覧をトップページに表示させたい」という記事を書きました。
もしよければ読んでください。
ただし、ヒラメキカンパニーさんも書かれている通り、ジンドゥー公式が推奨している方法ではないため、やはりデメリットであることに違いはありません。
いくつもの欠点はあるのですが、とはいえ、ジンドゥーはよくできたシステムだと思います。
値段、自由度、覚える操作など、総合的に勘案すると、行政書士事務所のホームページ制作には、ジンドゥーがおすすめです。